「あなた」の意識

2019.11.12
最近サワードウという天然酵母を作り始めた。パンを自分で焼くため。作り方はいたってシンプルで、小麦粉と水のみでできる。
最近の朝の日課は育ってきたサワードウに小麦粉と水を足すこと。ライ麦にすることもある。動物にエサをやるような感覚だ。そして足した量を引いてそれで小さなパンを1個こね、昼間に暖房の上で発酵させておく。そのパンを焼くのが夕方の日課。

毎日のパン

朝の先生のミーティングでは、生徒の呼び方に関しておもしろい問題提起があった。名前ではなく、なるべく「あなた(you)」を使って語りかけるようにすべきという。例えば、先生が生徒に「あなたは今日~をします」というのではなく、「○○くんは今日~します」と言うほうがコミュニケーションがとれる場合がある。大人が幼児に語りかけるような感じで。これは特定の自閉症の子どもなどには有効らしいが、その言い方に慣れてどの子どもにもそう話してしまう先生がいるらしい。そしてそれが問題だと。「あなた(you)」で語りかけられることで、自分は「わたし(I)」なのだという意識が生まれる。それが子どもの発達にとって非常に重要なのだと。できるかぎりそういう話し方を教師はすべきなのではないかという話だった。

へぇ、確かにそうかもなとわかるのだが、日本語では「わたし」はいいにしても、「あなた」とか「きみ」とかあまり使わないよな。これはどうなっているのだろうか?それにたいしてヨーロッパの言語では、人称は必須で、動詞の活用からもはっきりしている場合が多い。日本人とヨーロッパ人ではやっぱり自我とか自意識が異なっているのかな?
朝から色々考えてしまった。

農園では明日の野菜のパッキング講座のためのニンジン、リークを収穫したり、フェンスの撤去を続けたり。フェンス作業はとにかく永遠と続く。力仕事でもあり単調でもあり退屈に感じることもあるが、場所のデザインとはこういうものなのだろう。机で線を引いてあとは誰かがやってくれるわけではない。頭のなかにランドスケープという大きな視点を置きつつ、地道に仕事する。

午後、ここの昔使っていたという木工房を見せてもらった。雑然としているが、電動カンナなど大型機械も置いてあって作ろうと思えば家具でもなんでも作れる。今は毎日忙しくてそんな暇はないが、ここにいる間に何か作れたらいいなと思う。ラスキンミルというのは芸術・工芸も大切にしている学校組織である。他の学校では、僕たちのような農園研修生も工芸の授業に参加できたりするようなのでうらやましい。 というのも僕たちの学校は新しくラスキンミルに取り入れられたばかりで、体制がまだ追いついてなく、そもそも工芸の授業自体うまくやれていないのだ。残念。

最近の夜の楽しみは、食後に自作のサワードウパンをかじりつつ、あればワインをちびちび。束の間のボーっとタイムで、その後は勉強や日記をつけていれば2~3時間はあっという間に過ぎてしまう。

ではまた。

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