さあ今日から、農園で暮らすことになる。農園日記というものをつけていこう。
一年間、一日一日の出来事や感じたこと、学んだことを記録しておく意味で。
これは出発前から自分で自分に課す課題と決めていた。
2019.10.9 ~学校到着、セーフガード研修と住居~
ホテルで朝食を終え、9時に農園責任者のエドに車でホテルに迎えに来てもらった。働くことになる学校へ向かう。
ひとまず、今夜からは学校敷地内に泊まれるようになったとのことで一安心。
着いてからまず、セーフガード(Safe Guard)の研修を受けた。
我々はこれから、特別支援学校の中の農場で、日々ハンディキャップのある子供たちと接しながら働くことになる。
このセーフガードとは、そういった弱い立場にある子供たちを守ること、特に施設の中で彼らが危害を加えられたり、不利益を被ったりすることがないようにする指針である。
我々の他にも新人の子が1人と、定期的に受けるものなのか7,8人のスタッフがいた。
まだ英語に慣れていないなか、ひたすら3時間あまり専門用語を交えながらの説明を聞くのはしんどかったが考えさせられることは多かった。
特に、子供たちへの加害の大半はよく知った人々からであることを聞き、なぜまず最初にこの研修を受けなければならないかが分かった。自分たちスタッフが絶対に加害者とならないようにすることは勿論、小さなサインに気付けるような意識をつくらなければならない。
さて研修のあとは、食堂で昼食。
ここでは、メインディッシュを2つから選び、サラダはトッピングを自由に選べる。
僕は、「ジャック・ポテト」を選んだ。
大きな焼きジャガイモを2つ割りにして、トマト味に煮た豆をはさんだ料理。
僕の耳には「ジャック・ポテト」と聞こえたが、正確には「ジャケット・ポテト」でイギリス料理の定番らしい。ポテトの皮がジャケットだ。イモと豆なのでモサモサしているがおいしい。
午後は、エドと牛を放牧している丘へ。牛は12頭いる。
草原には土がむき出しになって盛り上がっている塚が無数にあった。モグラ塚。日本にも「モグラ叩き」などの風習が昔はあったようだけれど、ほとんど見たことがなかった。
エドはそこの土を掴みとり、片手で捏ねながら土の話をしてくれた。土の構成には、粘土、ローム、砂がありその比率で性質が決まってくる。ここの学校の敷地は広大なのだが、いくつかの地層がぶつかっているポイントで、土壌が複雑らしい。そういった土地を菜園や果樹園、放牧地に使い分けるのは難しそうだ。
「ここだけでも様々な土があるから色々触ってみるといい」と彼は言った。
そうだ、まず土というものが知りたい。
その後、パスポートやビザなどのIDを事務室に提出して、部屋を割り当ててもらった。
これから当分の間住む部屋は、学校本館の家族用ゲストルームで、キッチンや洗面所、応接間までついている。洗濯機や乾燥機まである。
そしてキッチンのテーブルの上には花が活けてあり、パンや果物が、冷蔵庫のなかにはバターやチーズ、サラダなどが用意されていた。食堂のおばちゃんが用意してくれたようだ。こういう細やかなウェルカムがうれしい。
色々な不安のある中、まずは落ち着くことができそうで安心した。
さて明日は、町の郵便局に滞在手続きを完了させに行く。
ではまた。
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