ついにブタが産まれた

農園日記

2019.11.14
天気は荒れている。
午前中はブタ小屋、ヤギ小屋の床に麦ワラを足す。雨の中外に出ていたブタがすぐに戻って来て寝床を自分用に整え、寝はじめたのはおもしろかった。新しい乾いたワラは気持ちいいんだね。寒かったので昼前にティーブレイクをとった。

午後は、次に住むことになる家の片付け。今住んでいるのは、学校の本館にあるゲスト用ルームなのだが、畑のそばに家が一軒建っていて、ここに農業研修生は住めるようになる。住めるようになるというのは、今はまだ以前使っていた人のガラクタがたくさん残されていて、設備を新たにする必要もあるから。僕たちはここの最初の研修生なので、こういうDIYも自分でしていかなくてはならない。

今日はガラクタを1室にまとめたり、壁に塗るペンキを選んだり、窓の寸法を測ったり。いずれIKEA(英語ではアイケア)に家具を買い出しに行く予定だ。もちろん予算は学校持ち。

片付けをしながら窓の外を見ると、畑に降り注ぐ雨はみぞれにかわっていた。初みぞれ、寒いわけだ。

夕方のエサやりの時、いつもはエサを待ち構えている雌ブタの1匹、ライリーの様子がおかしかった。エサに興味を示さないし、動きものろい。その場にいなかったエドに「後でチェックしてほしい」と連絡して家に帰った。
夕飯の準備をしていると、「仔ブタが産まれそうだ、見たいなら」とメールがあった。急いでヘッドライトをつけ、丘の下のブタ小屋に駆けつけてみると、もうすでに3匹が産まれていた。仔ブタたちは懸命におっぱいを探してヨタヨタと母ブタにぶつかっている。母ブタはまだ苦しそうに横たわっていて、その後20分くらい休止があってからさらに1匹1匹と産まれ、合計8匹が産まれた。生まれる時は結構な勢いで頭から飛び出してくる。人間のやることと言えば、仔ブタの鼻と口を覆っている粘膜をはがして息ができるようにしてあげることぐらい。へその緒は絡まっていれば切ってやるが、基本的に切る必要はないし、胎盤はのちに母親が食べてしまう。

8匹の仔ブタはピンクや茶色の斑、白色など様々な色で、体のわりに大きい耳、ブタらしい鼻、ネズミのような毛のない尻尾といった容貌でとてもかわいいが、見慣れない目にはぬいぐるみか、架空の動物を見ているような変な感じがする。

みんなかたまりになってキーキー鳴いて、重なり合いながら母親のお腹に向かってゆく。30分もすれば乳の吸い方を覚えているのがすごいところ。みんなすごいエネルギーで、1日を終えて疲れている僕にしてみると、もう夜で寒いのに寝ないのかなとか思ってしまったが、考えれば皆今誕生したばかりで、生命エネルギーに満ち溢れている状態なんだろう。

さてブタの出産で一番危険なのは、母親が子どもを踏んだり、その上に寝転がったりしてしまうこと。なので出産が終わり、母ブタがストレッチなのか歩き回り、再び子どもたちに乳をやるために横たわるまで見守ったが、案の定1匹が下敷きになってしまった。助けたが少し弱っているよう。ブタは賢いが、時にとてもバカに感じる。
とりあえず一旦帰り、夕飯を食べてからもう一度、21時半ころに見回りにブタ小屋へ降りた。すると子どもは9匹に増えていて驚いた。

初めて動物の出産というのを見て、興奮したが、それとともにどこか呆然としている部分もあり、とても疲れてしまった一日だった。
ともかくライリー、素敵な経験をありがとう。

ではまた。

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